有機化学 NO.2
以下の問(1) (2)に答えよ。
(1) 分子式をもつ化合物 A, B, C はいずれも金属ナトリウムと反応し水素を発生する。化合物 A は酸化すると酸性を示す化合物 2-メチルプロパン酸となり、化合物 B を同様な条件で酸化すると酸性を示さない生成物が得られる。一方、化合物Cに対し塩酸と塩化亜鉛を作用させると室温で直ちに反応が起こり、化合物Dが生成する。化合物 A, B, C, D の構造式を示せ。また、なぜそのように判断したのかを述べよ。
(2) アルケン E に対し、次式に示す3つの反応を行った。それぞれの反応で予想される生成物 F, G, H の構造式を示せ。また、F, G が生成する反応の立体選択性、および H が生成する反応の位置選択性について説明せよ。
(1) いずれも金属ナトリウムと反応し水素を発生することから、A, B, C はアルコールであることがわかる。アルコールを全て書き出すと
A は第一級アルコールであり、酸化して 2-メチルプロパン酸となることから ② である。
次に B は酸化しても酸性を示さないことから第二級アルコールであることが分かり、③ である。
C に対する作用は脱水反応である。脱水して二重結合になるものであるから ① である。またこの結果生成する D の構造式を下に示す。
(2)
以下の問 a) ~ e) に答えよ。
分子式がであり、次に示す性質をもつ化合物がある。
・ナトリウムと反応して水素を発生する。 (1)
・二クロム酸カリウムにより酸化すると酸性を示す物質を生成する。 (2)
・等モル量の臭素を作用させると速やかに臭素の色が消失する。 (3)
a) この化合物として可能なもののうち、幾何異性体が存在する化合物の構造式を全て示せ。ただし、それぞれE体の構造のみを示すこと。
b) この化合物として可能なもののうち、不斉炭素を有する化合物(化合物 A)の構造式を示せ。ただし、立体化学を示す必要はない。
化合物 A を出発材料として、次式に示す反応を行った。
化合物 化合物 化合物
c) 化合物 A から化合物 B への変換反応の機構を説明せよ。
d) 化合物 C の構造式を示せ。
e) 化合物 C のオゾン分解で生じる化合物は、容易に環状構造を形成して化合物 D を与えた。化合物 D の構造式を示せ。ただし、立体化学は考慮しなくてよい。
a) 与えられた性質から次の事がわかる。
(1) → アルコール (2) → 第一級アルコール (3) 二重結合を持つ
以上を満たす構造式を全て書き出すと
このうち、幾何異性体が存在するものは ②, ③, ⑧ である。E体で示せば
b) 不斉炭素がある構造は⑤である。
c) HBr が H+ と Br- に解離し、そのうちカチオンである H+ がπ電子を攻撃し、電子2つでσ結合を形成する。するともう一方の炭素は電子を奪われたことでカルボカチオンとなる。このとき、アルキル基は電子供与性を持つため、カルボカチオンにより多くアルキル基が付くような位置に H+ は結合する(マルコフニコフ則)。しかしながらカルボカチオンは非常に不安定であり、系内に残った臭化物イオンと結合し安定となる。
d)
e)