反応速度 例題

問1 次の二次反応に関する問 a) ~ d) に答えよ。

 A + A \rightarrow^k P (1)

a) 反応(1)の速度式を、Aの速度の時間変化 d[A]/dt を左辺として表せ。

 \frac{d[A]}{dt} = -k[A]^2

b) a) で求めた反応式につき、積分形速度式を示せ。ただしAの初濃度を [A]0 とする。

 \displaystyle \int_{[A]_0}^{[A]} \frac{d[A]}{[A]^2} = -k \int_0^t dt

c) b) で求めた積分形速度式より、Aの濃度が初濃度の1/2にになる時間(半減期)t12 を求めよ。

題意より

\displaystyle \int_{[A]_0}^{[A]_0 /2} \frac{d[A]}{[A]^2} = -k \int_0^{t_{12}} dt

これを解いて、

 t_{12} = \frac{1}{k[A]_0}

d) 反応(1)を一定容積 10[L] の容器中、一定温度 0[℃] で行った。t = 0 で、[P] = 0[mol/L] 、Aの圧力が 1.00[atm] であったとき、容器内の圧力が 0.75[atm] となるまでにかかった時間はどれだけか。ただしA、Pはともに理想気体であり, k = 5.6 × 10^(-3)[L/(mol・s)] とする。

反応は 2A→P であるから、AとPの反応比は 2:1 である。x[atm] だけPに反応したとすると、 

 (1-2x) + x = 0.75

が成り立つから、x = 0.25[atm] であり、反応後のAの圧力は最初の半分になっている。すなわち、求める時間は半減期である。理想気体の状態方程式 PV = nRT から、濃度[A]0は

[A]_0 = \frac{P}{RT} = \frac{1}{0.082 \times 273}

よって、半減期 t12 = 7.98[s]

 

問2 次のように物質A, Bが中間体Iを経て生成物Pとなる反応について、以下の問に答えよ。ただし、k1, k-1, k2 は反応定数、[X] は物質Xの濃度を表わす。

 A+B \rightleftharpoons_{k_{-1}}^{k_1} I \rightarrow^{k_2} P

a) A, B, I が平衡にあると仮定できるとき、AとBから生じる平衡定数をKとする。このときPの生成速度 d[P]/dt を求めよ。

\frac{d[P]}{dt} = k_2[I] = k_2 K[A][B]

b) 中間体Iに定常状態近似を適用してPの生成速度 d[P]/dt を表わす式を導け。

d[P]/dt = 0 とおいて、

k_1[A][B]-k_{-1}[I]-k_2[I] = 0

 \frac{d[P]}{dt} = k_2[I] = \frac{k_1k_2}{k_2+k_{-1}}[A][B]

c) 上の b) で求めた式が、a) で求めた式で近似できる条件を示せ。

2式を比較して、k2 << k-1

d) 上の b) で求めた式が、d[P]/dt = k1[A][B] と近似できる条件を示せ。また、そのときの律速段階を反応式で示せ。

2式を比較して、k2 >> k-1

また、律速段階とは全体の反応時間に最も影響する反応のことであるから、A+B → I